2025年2月17日月曜日

グローバル化と教育

10日ほど前から、インドネシア・バリ島の自宅に来て、原稿三昧の日々を送っています。某出版社から出している問題集が好評なので、今年は改訂版を出したいというのです。日本だと、執筆中さまざまな雑用が出て来るのですが、慣れた環境からったん遮断されると集中しやすくなるのです。

このような仕事の形態を始めたのは、今から15年前で、インターネットが充実し始めたころでした。家は、近くの村から1km以上離れているのですが、そこから電話線を引っ張って、この地域でも初めてネットが使えるようにしたのです。

電柱もなく、電話線は木に這わせたり、田んぼのあぜ道に竹をに刺したり、むちゃくちゃな突貫工事でした。おかげで、雨が降るごとに線が切れて、工事の人を呼ぶ羽目になりました。ネットが通じるまでの数時間、じりじりしながら待っている感じは今でも鮮明に覚えています。

そんな状況が変わり始めたのは、ここ数年です。光ケーブルが島内に完備され、インターネットの速度も爆増しになって、今ではZoomも使えます。

昨日も、バリ在住の日本人声楽家と話したのですが、彼は音大受験生をZoomで教えているそうです。最近だと、むしろ対面の方が少ないのだとか。受験直前に「次回は受験直前なので、対面でやろうか。ちょうどその時なら日本にいるし」と言うとビックリされるのだとか。

場所や空間の縛りなしに仕事ができる状態の方が普通になり、私の教えている人も、沖縄とテキサスと東京と長野と、という風に居場所さまざま。どこにいても、日時を合わせて、教えたり打ち合わせしたり、という感じになりました。

世界中の人々と瞬時に繋がるので、教育で残っている問題と言えば、何を学ぶべきか、という判断力と、どんな人と繋がるか、という情報力と、粘り強く学びを続ける持続力にかかってくるようになりました。どこにいても、正しい人々とつながり、しつかりした教えを受け、着実に練習すれば、一年後には結果が大きく違う。ある意味、怖い時代になったな、と思います。

ボカボでも、3月1日から「小論文セミナー」Weekend Gymを始めます。これは、大学・大学院受験・転職の志望理由など、論理的な文章を書きたい方々のために、基礎から書き方を練習する講座です。大学院などの試験は、夏から秋にかけてでしょうが、小論文を書く力は比較的ゆっくりと向上します。早めに始めて、今の自分にどこが足りないか、自覚することがまず大切です。そうなって始めて、努力目標も効果的な学習法も見えてくるものです。

世界中の人々とフラットに競い合う状況は、人間が初めて経験する状況かもしれません。しかし、そんな世界の中で力を得るための方法は、2000年以上も前から変わっていません。学び、経験し、自分のものとする、というだけです。Weekend Gymを、その力を磨く最初のきっかけにしていただければ幸いです。皆様のご参加をお待ちしています。

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