2015年5月1日金曜日

15年目の改修

去年からやっていた本の仕事がようやく一段落ついて、今年の講座についてvocabowのサイトをあらためて見直してみました。いろいろ感無量です。

最初にvocabowのサイトを作ったのは、なんと2001年です! 今から15年も前。最初はBasicの講座を作りました。巷で書かれている「小論文」の参考書や講座に納得がいかなかったからです。

その頃行われていた指導法と来たら、まず「原稿用紙の使い方」があって、それから、実際に生徒が書いた小論文の答案があって、それを赤ペンで著者が添削する、という体裁でした。あるいは、環境とか政治とか一つ一つテーマがあって「この問題に対しては、こう書け!」などと上から目線で解説する。極端なものになると「この本で書いたとおりに書けば合格する」とか「小論文は暗記科目である」と言い出す。

そういうのは「邪道」だと思いました。

なんで邪道なのかって? 「その科目の目指している目的」が果たされないでたんなる「試験突破」が目的になっているからです。

その当時、私が教えていたYゼミナールでも、そういう試験突破法を教える先生がいましたね。「試験なんかただのゲームだから、できるだけ楽して合格しちゃえばいいんだ」と言って、勉強なんかしないで、選択肢の特徴だけから正解を導き出す「方法」を教える。けっこう人気がある先生でした。

でも、なんだかんだと文句を言われながらも「試験」という制度自体は何十年も何百年も続いている。何か「合理性」や「有効性」があるはずです。個人の小手先の誤魔化しできるなら「試験」なんてやらない方がいい。

小論文にも「目的」があります。それは、知識をアウトプットする技法を身につけることです。知識をため込むだけではなく、それを自分なりに整理して、自分の知見をつけ加えて、また人類の「知識・リソースの倉庫」に返す。それを、また他人がインプットして、それを整理して…という循環サイクルに入るスキルを身につける。

だから「分かりやすく正確に書く」必要も出てくるし、「内容的にも妥当」でトンデモではなく、しかも受け売りではなく、自分の創造的な考えが出ていなくてはならない。小論文の評価が「独創力」「論理力」「構成力」「表現力」「知識・理解力」などに分かれているのも、そういう意味からです。

そんなわけで、Basicコースでは、小論文の基本構造からはじめて、要約の仕方、反対意見への対処、グラフや複数の課題文の理解と利用、などという根本的なスキルを解説しました。このBasicコースを元に『吉岡のなるほど小論文講義10』が出版され、初刷から10年以上たっても、アマゾン小論文部門のTOP3に入っています。


そこからvocabowは急速に発展しました。最初は大学入試を相手にしていたのが、受講者から「ロースクール受験はできますか?」と言われて、それを作り、さらにMBAを付け加え、さらに「実際に教えてください」と要望されて、Real Schoolを神保町に作り、遠隔の方のためにSkypeを駆使して…受講生の要望に応えて継ぎ足ししてきたので、まるで老舗の旅館がお客さんが増えて新館を作ってつないでいるうちに、複雑になったような感じ。

それはそれで趣がないわけではないのですが(笑)、時代に従ってサイトも変化していく必要があります。システムや表示をシンプルにして、すっきりと分かるようにする。新しい要望にも応える必要があります。

そんなわけで、これから徐々にサイトを変化させていこうと思っています。15年目のマイナー改修です。日本が成熟社会になってさまざまなものが変化している中、我々もより「成熟した小論文講座」として、皆さまのお役に立っていきたいと考えています。

よろしくお願いします。